
ギターとピアノ、そして重なる声。liloの楽曲に宿る「素朴ながら大胆な」アレンジの魅力|孤独を抱きしめるスモーキー・ヴォイス
lilo(ライロ)は、吐息の混じるスモーキーな歌声と、重層的なコーラスワークで独自の世界観を築き上げるアーティストである。彼女の音楽の核にあるのは「静寂」のコントロールだ。2022年の代表曲『Losing』で見せたピアノのペダル音までをも音楽の一部とする極限の静謐さは、リスナーを一瞬にして深い没入へと誘う。
2023年の『Spit Up』ではドリーミーなウォール・オブ・サウンド(音の壁)へとアプローチを広げ、シューゲイザーにも通じる幻想的な質感を獲得した。しかし、その根底に流れるのは一貫してオーガニックな手触りである。
2025年、彼女の音楽性はさらなる深化を遂げている。『Step』や『Closing Time』に見られる素朴なアコースティックギターとノーリバーブに近い生々しい歌唱は、聴き手の日常に寄り添う親密さを提示した。一方で、12弦ギターが躍動する『Out Of My Head』や、クジラの鳴き声を想起させるアンビエントな装飾を施した『Simply Put』など、伝統的なフォークの枠組みを大胆なサウンドアレンジで解体・再構築している。
liloの音楽は、単なる癒やしのBGMではない。それは、日々の喧騒の中に「空白」を作り出し、心に沈殿した感情を優しくすくい上げるための装置である。2025年、彼女が提示するインディー・フォークの新たな形は、現代を生きる我々の耳に、最も美しく、そして切実に響く。
2025.12.現在/as of 2025.12.
01.
★☆☆
Losing 2022
かすかに聴こえるドローン、そしてピアノのペダルを踏む音が聴こえるほどの静寂を保っている音空間、スモーキーな歌声にボトムに広がるベース、美しいバラードだ
02.
★☆☆
Spit Up 2023
ドリーミーな音の壁にゆったりとドラムが心地よく、話すようなヴォーカルがいいムード。サビのハーモニーがウォールサウンドに溶け込んでいく
03.
★☆☆
Blood Ties 2025
アコギの音がキラキラと、ゆったりとしたヴォーカルを見守る感じ。
04.
★☆☆
Step 2025
素朴なアコギに、ほぼノーリバーブなヴォーカルとコーラスのハーモニーが感動的。日々にこんな音楽があれば最高だ
05.
★☆☆
Closing Time 2025
ヴォーカル主導で展開するバラード、バッキングは素朴なアコギ。ハーモニーはここでも最高で気が付けばそっとオルガンが流れている
06.
★☆☆
Out Of My Head - I Said What I Said 2025
12弦ギターのストロークが最高に心地よく、ハーモニーヴォーカルで展開する。リスト中一番の歌い上げる感。×3からはドラムもピアノも力強く弾んでいる
07.
★☆☆
Simply Put 2025
2本のギターとピアノのコンビネーションが◎ ハーモニーももちろん◎ 鯨の鳴き声らしきのもドリーミーだ、サビで上にも下にも広がる大胆なサウンドアレンジが印象的
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