

ポップセンスと柔軟かつボーダーレスな感性
イギリス・ロンドン出身のボブ・スタンレー、ピート・ウィッグス、そしてヴォーカリストのサラ・クラックネルによるセイント・エティエンヌ(Saint Etienne)は、1990年の結成以来、ポップ・ミュージックの可能性を境界なく拡張し続けてきたグループである。
彼らの功績は、60年代のモータウンやフレンチ・ポップ、70年代のディスコ、そして現代のエレクトロニック・ダンスミュージックに至るまで、膨大な音楽的語彙を独自の洗練されたセンスで統合した点にある。
「ポップ・ソングこそが最も構築が難しい」という命題を体現するように、彼らは一聴するとキャッチーな旋律の裏側に、緻密なコード進行と大胆なサンプリング、さらには映画のセリフや生活音を織り交ぜた高度なコラージュ技術を潜ませている。なによりサラ・クラックネルのアンニュイかつキュートな歌声は、グループのアイデンティティを象徴する核として、変化し続けるサウンドに一貫した気品を与えている。
デビュー・アルバム『Foxbase Alpha』でのマーキュリー・プライズ(Mercury Prize)へのノミネートをはじめ、長年にわたり音楽批評家やリスナーから高い評価を獲得し続けている事実は、彼らの音楽が単なる流行の産物ではなく、普遍的な芸術価値を持つことの証明である。
時代の潮流を鋭敏に捉えながらも、自身の美学を貫き通すその姿勢は、ポップ・ミュージックの進化における一つの到達点を示している。静謐なバラードから躍動するダンス・ナンバーまでを縦横無尽に横断する彼らの作品群は、未来永劫色褪せることのない不変の至宝である。
Saint Etienneを聴いていて、あるインタヴューを思い出した。今や私が刺激度トップグループに入ると認識するヤング・ファーザーズの「ポップ・ソングがいちばん難しい」という言及はそのままSaint Etienneへの称賛とも言える。
▼ストリーミング記録
2026.05.現在/as of 2026.05.
01.
★☆☆
Kiss and Make Up 1992
どことなくABBA、ジョージマイケルのグルーヴを感じるナンバー。
02.
★☆☆
Only Love Can Break Your Heart 1992
キャッチーなフックから始まるキラーチューン。ほぼ繰り返しだが、いいフックが出来たら勝利は見える。ニール・ヤングのカヴァーだが、しっかりと消化吸収リボーンしている。
03.
★☆☆
Nothing Can Stop Us 1992
歌うベースとギターカッティングが曲を形どる。スピーチングからメロデイが乗ってくると盛り上がる。フルートも印象的に使ってる。
アナログを買おう!
04.
★☆☆
Hobart Paving 1993
映画を思わせるセリフからのイントロ、ロマンチックなメロディとサラのキュートなヴォーカルがしっかりと世界をつくっています。このチームはトータルコントロール優れています。
05.
★☆☆
You're in a Bad Way 1993
キュートでゴキゲンなポップチューン、モータウンのイメージ。
06.
★☆☆
Pale Movie 1994
今は昔。Winkが演ってそうな4つ打ちポップダンスナンバー。フックがやはり印象的。
07.
★☆☆
Sylvie 1998
イントロのピアノからパーカッシブなポップダンスナンバーに。「君の瞳に恋してる」に対抗するかの如く、哀愁を帯びたコード進行で展開していく。おいしいところたっぷりのいい作品。
08.
★☆☆
Split Screen 1998
なんでだろ「ハチのムサシは死んだのさ」を思い出した(笑)。ギターのカッティングとサビのハーモニーがカッコいいナンバー。
09.
★☆☆
Lose That Girl 1998
エレピのバッキングにカウベルがカッコいい、コードアレンジの勝利ともいえる作品。全体にグルーヴィンでイカしてる。フリートウッドマックでタンバリンを持つスティーヴィー・ニックスをイメージした。
アナログを買おう!
10.
★☆☆
Shower Scene 2002
メロディアスでキャッチーなフックの4つ打ちダンスナンバー。サラがここでもアンニュイにキメてくれてます。後半からエンディングに向けて私にはできないアレンジ、3:30あたり、凄い。
11.
★★☆
Stars Above Us 2005
カイリー・ミノーグが歌いそうなナンバー、無駄な部分をそぎ落としてシェイブアップしたアレンジ、間奏のグルーヴ感といいセンスを感じる作品です。サビのメロディ好きです。
12.
★☆☆
Popular 2012
ソングライティングに妙味ありですねぇ、↑の作品「Stars Above Us」から7年がたっていますが、ヴォーカルのキュート&アンニュイはさらに磨きがかかっています。ただエフェクト処理で生々しさが少し欠けてるのは残念ではあるけれど。
13.
★☆☆
Memories ( Saint Etienne Remix) 2013
セルフRemix、グルーヴィンなリズム、パーカッション、ギターのサウンド&フレーズ、エレピのバッキングとどれもがセンス抜群。
14.
★☆☆
Take It All In 2017
ソフィー・マルソーが出てたりするフランスの青春恋愛映画とかに流れてそうなアンニュイなナンバー。サラのヴォーカルは持ち味炸裂。
15.
★☆☆
You Don't Own Me 2019
強力なグルーヴビートにポップなヴォーカルが冴えわたる。それぞれの楽器のフレーズもキャッチーでセンスを感じる。
16.
★★☆
Marble Lions - Sarah Plus Orchestra 2019
かわいい音色のエレピで始まってオーケストラがバックをつくる。アンニュイなサラのヴォーカルは映画の中のセリフのよう。
17.
★☆☆
I Remamber It Well 2021
チルなムードのインストが目立つ新作「I've Been Trying To Tell You/2022 」のこの曲は生活感のあるサンプリングが全編にある、うっすらとコーラスに似たパッドをバックにサウンドは味わいのあるギターが主導、ゆったりとしたリズム。あとここにヴォーカルが入れば素敵な曲になるだろうと思わせる。だがインスト、でも聴いてしまう。
18.
★☆☆
Fade
ストリングスに乗せて優しくアンニュイなムードのミディアム、
19.